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集患対策

広告戦略

ポイント

医療機関の広告手法としては、野立ての看板や電柱広告、電話帳などさまざまなものがあり、各手法の特徴を踏まえて、自院の診療科目や開業地に合った方法を選択する必要があります。

なお、医療機関が広告できる項目は、医療法および厚生労働省告示などで規制されているので注意が必要です。

1. 広告宣伝方法とその特徴

開業準備の段階では、開業前の月々の広告掲載費用に加え、新規の広告媒体の制作費用がかかります。初年度の費用は2年目以降の広告費の二倍程度の費用がかかると見込んで、立ち上げ時の所要資金計画に盛り込み、あらかじめ予算化しておくことが必要です。

さらに、開業後の患者行動は、看板やチラシなどのマス媒体から徐々に口コミなどに変化していくので、初年度は少し多めの広告を投入し、自院の存在をアピールした後に、2年目からは医院名の浸透度に応じて広告予算を絞り込むといいでしょう。

医院における広告・宣伝方法と特徴、欠点は以下のようになっています。

(1) 電柱広告

電柱広告のメリットはなんといっても数多く、広い地域に医院の存在を面的かつ継続的にPRできることにあります。さらに、医院の位置や道順を患者に示す道案内役としても活かせます。

(2) 駅看板

日本全国、駅の看板の多くが医療機関の広告で占められているように、医院広告の主力となっているのが駅看板です。よい位置の看板ほど空きが無いので、まずは自院の最寄り駅と地域で通勤通学客がもっとも利用する基幹駅から空き看板を探して検討してみましょう。

(3) 電話帳(タウンページ)

インターネット時代においても、電話帳による来院患者は意外に多く、とくに高齢者は電話帳を頼りにしがちです。ただ、電話帳の掲載チャンスは年1回しかないので、開業が決まったら、電話帳の巻末にある申込み先に電話をかけ、次回掲載申し込み締め切り日を確認しましょう。また、メンタルクリニックや泌尿器科、産婦人科など、診療圏が広く、じっくりと看板などを見づらい診療科目の開業では、電話帳が広告の中心的存在になるので、早めに問い合わせておきましょう。

(4) 地域版医療マップ/住居地図への広告掲載

小学校の学区単位で発行される地域板の医療マップや、地域地図への広告掲載の広告効果は大きいのですが、公共性の強い媒体であるため、とくに自院だけ目立つ広告が難しくなっています。

(5) 野立看板

車社会においては、野立看板の広告効果は侮れません。特に地方や郊外のベッドタウンでは車が主要な移動手段となっているので、道案内的に主要な交差点に野立看板を計画性をもって配置するのは効果的といえます。

(6) 電車・バス広告

車内・車外の額面広告なども一般的によく活用する広告手段です。電車やバス会社指定の代理店にバス路線や駅ごとに比較した乗降客数のデータの提出を依頼し、人の流れに応じた効果的な路線を選んで掲載を検討してみましょう。

(7) ポスティング/新聞折込チラシ

ポスティングや新聞折込チラシは、すでに多くの他業種で活用されている人気の広告手法であり、配布地域を限定して迅速かつ集中的に投入できるメリットがあります。

(8) 内覧会

開業直前に医院の内覧会を行い、地域住民へ開業をアピールするのは効果的な手法です。この内覧会は、院長が行うよりは建築業者が医院建築を内覧してもらう目的で主催し、併せて医院側の広告効果をねらう場合が多いです。地域住民にとっては、施設内の様子を見ることができ、また、院長とも面識が持てるので、開業後すぐに安心して来院できるメリットが大きいです。

(9) インターネットホームページ

今日、医療広告の中心的な存在になっているのがインターネットによる広告です。ホームページによる医院広告は、法的に医療法による広告規制に該当せず、自由な内容を掲載できます。したがって、院長の治療方針や他の医療機関との違いなど、一般広告ではできない情報も患者へ提供することができます。

SEO対策を十分にすると良いでしょう。

集患施策

ポイント

医院開業で患者を集めるために、施設間の連携と相互の患者紹介が重要です。さらに、病状説明なども、ちょっとした工夫と気遣いが評判の良し悪しにつながります。

診療時間の設定や、受付応対の接遇マナー教育など、開業前1~2ヶ月間の準備が開業後の運命を決める大事な期間となります。

1. 病医院同士の連携

病院経営にとって急性期、慢性期の機能分化が進み、外来機能から入院機能中心に進む時代では、生き残りのためにはいかに地域の開業医と連携を組み、紹介患者を増加させるかがポイントになってきます。

このような環境の中で医院開業時には連携を太くすべき後方病院をどこにするかは重要な経営戦略として慎重に検討する必要があるでしょう。具体的には、後方病院の地域連携室と連絡をとり、その病院の経営方針や医療設備の充実度、実績がどの程度あるのかなどの資料の提供を求めることから適切なデータに基づく連携を構築していきたい。

患者が紹介時に求めるのは、病院と医院をたらい回しにされることなく、ちゃんと納得するまで責任をもってくれるかどうかであり、どの病院を紹介してもらうか、その病院のどの医者を紹介してくれたかが問題となります。さらに、「紹介先の先生とは常に連絡をとりあっていますから、何か不安になることがあればいつでも私に連絡してください」というようにホームドクターとして自らの位置づけを明確にしておくことも大切です。

また、開業医相互の横の連携も併せて強化し、患者の満足度をアップさせていきましょう。地域の医師会で相互のつながりを積極的にもち、独自のネットワークを構築することによって専門性の高い医療サービスを提供していきたいところです。とくに診療所間の連携は、個人的なコミュニケーション能力によるところが大きく、常日頃からの地域開業医との付き合いを良好に保ちながら、相互に共存できる関係を地域でつくりあげることが安定した経営基盤につながります。

2. 患者ニーズに合わせた診療時間

診療時間の微妙な違いで医院経営の収益に意外なほど差が出ることはよくあります。例えば、最寄り駅の電車の時刻が診察時間より少し遅くなっていて受付時間に間に合わなかったり、お昼休みに来院したくてもちょうど12時に受付を閉めていたり...などのケースがあります。

休診日の設定も多様化が進んでおり、都心では日曜・祭日をメインの診療日とする開業スタイルもみかけます。お決まりのパターンで土曜や木曜の午後は休診などと設定している時代ではなくなりつつあります。

このように地域ニーズに合った診療時間帯を設定するには、着実にアンケートなどで患者のニーズを定期的に収集する必要があります。来院患者の属性別にニーズを把握し、診療圏内での自院がターゲットにする患者属性ごとに診療時間を設定していきましょう。耳鼻科や眼科は子供の下校時間、精神科や心療内科、泌尿器科、婦人科はサラリーマンやOL層でも無理なく通院できる遅い時間や土曜の午後などの診察はありがたいでしょう。

ただし、これらの診察時間の設定には、地元医師会のルールを意識する必要があったり、スタッフの勤務時間の調整の問題が障害になる場合があります。とくに遅い時間帯の勤務は、常勤職員の勤務時間が法定労働時間を超え、割増手当の対象となり、せっかくの増患策がかえって高コストをまねきかねません。また、患者数の確保を急ぐあまり、開業当初から、ただいたずらに過剰に長い診察時間を設定するのは長い目で見ると必ずしもいいとはいえません。一旦診療時間を長くすると、患者サービスの視点から、短縮するのはなかなか難しいでしょう。院長やスタッフの健康状態をいつも充実して保てる余裕をもった診察体制を心がけることも重要です。